『障害者自立支援法』について


あと、個人的にちょっと補足したい。
私、ダウン症の子供に会ったことがありますが、「コミュニケーションのとり方にちょっと工夫がいるってだけ」の元気な子供、という印象でしたよ。
その点で、冒頭でリンク貼った質問の28番目の回答にちょっと引っかかるものを感じました。


しかし一方で、障がいを持つお子さんがいる親御さんが、自分の死後の子供の行く末を案じるあまり無理心中って話も、障がい児教育に関わっている人やボランティアやっている人なら、割とよく聞く話ではないかと思う。ニュースではあまり報じられないが。
でも障がい者雇用促進策が取られているだろう、と思う方もいらっしゃるかもしれないが。
軽度の身障者なら雇用の道が開けているかと思うが、咀嚼障害があって食事するのも命がけってくらい重度だと、まず雇われませんでしょうね。
あと、自閉症とか知的障害系の方々も、なかなか就労先がないと思われる。

就労することが困難な障がい者のため、授産施設とかがあるのですが、

入門講座:知的障害者の就労支援(機関紙「自閉児教育研究会 Vol 20.」1998年夏発行に掲載)
http://www009.upp.so-net.ne.jp/machito/empu/aeac98.html

また、当然、授産の売上高が減少する。これにより、利用者一人ひとりに支払われる賃金(工賃)が減る。現在、授産施設の平均工賃は年間で10万円程度である。この額は、障害基礎年金の2級(年間80万円弱)と合わせても、年収100万円に到達しない。つまり、自立生活を支援する金額には、到底到達していないのである。

平成17年版 障害者白書のあらまし
http://www.npb.go.jp/ja/books/whitepaper/aracontents/syogaisya/050929/siry0929.htm


第一章 障害者数

①全体状況
 障害者数は、身体障害者三五一・六万人(人口一千人当たり二十八人)、知的障害者四五・九万人(同四人)、精神障害者二五八・四万人(同二十一人)であり、およそ国民の五%が何らかの障害を有している(第1表参照)。

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第五章 収入

①賃金等の状況
 事業所に雇用されている障害者の賃金月収は、身体障害者二五・〇万円、知的障害者一二・〇万円、精神障害者一五・一万円となっている。
 福祉工場の賃金は事業所雇用の平均より低く、通所授産施設の工賃の平均月額は身体障害者二・二万円、知的障害者一・二万円、精神障害者一・三万円と極めて低い水準に止まっている。
②就業収入の状況
 身体障害者の就労月収は、内部障害の収入が最も高く、肢体不自由、聴覚・言語障害視覚障害の順となっている。
 知的障害者の就労月収は、全体の半数強が月収三万円以下となっている。
③年金等の受給状況
 身体障害者の六割程度が公的年金を受給し、二割程度が公的手当を受給している。知的障害者の八割程度は年金又は手当を受給している。
 精神障害者では、四分の一が障害年金を受給し、一割が障害年金以外の年金を受給している。なお、精神障害者のうち定期収入に給料が含まれる者は二割程度に止まり、定期収入のない者も二割弱いるなど、経済的に厳しい状況にある。


こんな状況。


で、昨年の10月31日に衆議院本会議で、『障害者自立支援法』というものが自民・公明党の賛成により可決、成立しました。
名前だけ見るとよさげな法に見えますが、当事者である障がい者やその親たちからは「負担増だ!」という批判が成立前から上がっておりました。

で、今年4月から施行されましたが、その結果はこんなかんじ。
24日の大分県のニュースですが、

150人施設退所や利用控え 障害者「負担増」で
自立支援法で県調査 「影響は大きい」
西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/ooita/ooita/20060624/20060624_001.shtml

 県は23日、4月に施行された障害者自立支援法の影響調査をまとめた。それによると、「負担増」を理由に福祉施設を退所・通所中止、または利用回数を減らした障害者は計150人に上ることが分かった。県障害福祉課は「現時点で県独自の負担軽減策を検討するのは時期尚早」としているが、「影響はかなり大きい」と深刻に受け止めている。


同じく大分、26日のニュース。

怒りや切実な訴え 市民グループ開設
110番に相談15件 障害者自立支援法施行3カ月
西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/ooita/ooita/20060626/20060626_001.shtml

 徳田弁護士ら8人が午前中から電話などで相談に対応。障害者本人からは「自立支援法は不要だ」と怒りを伝える声、障害がある子どもを持つ保護者からは「負担増でデイサービスセンターが利用できなくなる」と切実な訴え…。15件の相談があった。

 相談に応じた障害者作業所運営、曽我淳史さん(48)は「障害者の生の声を聞いて、自立支援法が問題の大きい法律であることをあらためて認識した。県や市町村は負担軽減策をすぐに講じるべきだ」、徳田弁護士は「大分から行動を広げていき、1日も早い再改正を求めていきたい」と、強い口調で話していた。


ほか、ご参考までにリンク&ちょい引用。

障害者自立支援法を考える

当事者・地方の不安や疑問に応えないままの障害者自立支援法の強行な採決に抗議します

障害者自立支援法にNO!

障害者自立支援法 成立(2006年4月実施)
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/7524/sienhou.html

2005年10月31日、起立多数で成立しましたが、議場の拍手はありませんでした。
試案から提出まで4ヶ月、内容を伴わない拙速な審議が行なわれ、
データの誤り・不備や反対の声に、最後まで納得いく説明がないままでした。
障害の認定など詳細は、これから出されます。
利用者の意見や実態を捉えるしくみのない制度ですが、
3年後の見直しまで放置できる内容でしょうか。


こんなかんじなわけですよ。