『鏡の法則』なんかちょっと疑問


単に、専門家が言うところの“世代連鎖”とか“家族集積性”ってやつの話?と思ったが、その前に。
泣いた9割(もいるのか?)の皆さんは、『子は親の鏡』って詩、ご存知ないですか?
こっちのほうが簡潔。


どうせならこっちを広めるほうが、読みやすいしポイントつかみやすいしで、よろしいのではと思います。


で、こちらですが。


B氏は「心理学にも詳し」いってだけの「経営コンサルタント」なわけで、心理学の専門家ってわけではないんだよね。なのに「個人の問題解決を得意とし」っていうの、問題ないのだろうか。
ついでに、こういうのってなんか、父と娘に限定したことでもないと思うんだがなあ。なんかやたらと父性にこだわっているような印象。
なお、A子さんに色々やらせてる課題は、自己啓発セミナーとかでもよく使う手法だと思われる。その手法自体は批判する気はない。


で。ちょっとこちらのページから引用させていただくが。



赤城高原ホスピタル


アダルトチルドレン
アダルトチルドレンというのは、もともとは酒害家庭で育って今は大人になった人(Adult Children of Alcoholics)を意味しましたが、今では機能不全家庭出身者(Adult Children of Dysfunctional Family)に拡大使用されるようになりました。機能不全家庭の代表が酒害家庭や嗜癖家庭です。嗜癖家庭で育つ子どもたちは、慢性的なトラウマ(Trauma, 心の外傷)にさらされます。機能不全家庭の中で歪んだ感情、対人関係の癖、問題解決の仕方を身につけ、思春期から成人期にかけてさまざまな情緒・行動障害、精神障害を発症します。典型的には、共依存になったり、もっとはっきりした嗜癖問題を起こしたりします。アダルトチルドレン共依存は、嗜癖の世代連鎖を作り上げる鍵概念です。


機能不全家庭の具体例
 「機能不全家庭」の具体的内容としては、親(家族)の性格障害、精神障害など。養育者からの虐待(精神的、身体的、性的)。子供の自主性を認めないこと。家庭内不和。子供への無関心、ケアの不足など。同胞間での不平等など。仕事・環境・近所のストレス。子供への過重な期待などの問題があります。要するに緊張した家庭で、子供たちが安心感の持てない不安な家庭です。


以上のことを参考にすると、『鏡の法則』のA子さんは、単に、実家が軽く機能不全家庭だった、て話ではないのかなと思った。
だから自分も軽くゆがんだ親子関係・夫婦関係を作り出しがちな人になっちゃったんじゃないのかと。
軽いから、機能不全っていう認識がないだけで。
私が機能不全家庭っぽさを感じたのは、以下の点。


「なにかと口やかましい」
 = 子どもの自主性を認めない
「夕食が説教の時間になることも」
 = 緊張した家庭、子どもたちが安心感の持てない不安な家庭(食事くらい楽しくとらせてあげようよ…)
「子ども達(A子と兄弟)が自分の思い通りにならないと、すぐに大声で怒鳴りつける」
 = 緊張した家庭、子どもたちが安心感の持てない不安な家庭、子どもの自主性を認めない
「親に嘘をつくくらい後ろめたい付き合い方をしているのか!お前は、ろくな女にはならん!」発言
 = 子どもの自主性を認めない(信じていない)、暴言による精神的虐待
ついでに
「砂や土で汚れた仕事着で帰って来て、そのまま食事をすることが多かった」
 = 軽く精神的虐待? そりゃ嫌だろ、普通w 泥のついた靴がご飯と一緒に食卓に並べられたら食欲失せません? 何より衛生面で難アリ。教育上よろしくないのでは。


で。父親がそんなふうに過干渉かつ無神経だったので、A子さんも自分の子供に同じように過干渉な接し方をしちゃいました、てことで。
「虐待の連鎖」と根っこが同じ話ではないのかな、と。


そして。それ(だけ)が“鏡の法則”。じゃないのかなーと思った。
親から受けた仕打ちは子供に繰り返しやすい、ていう部分だけ。
誰かに対する感謝があるとかないとか、夫に父の姿を重ねていたとかって話は、また別のことって気がするんだがなぁ。
なんで父親や夫に対する感謝の心と鏡の法則を密接に結び付けているのだろう。
だいたい、そんな解釈したら、どうあがいても感謝できるポイントがない親を持った場合は解決のしようがなくなるような。


こういう連鎖傾向を、家族集積性とか環境遺伝とか世代連鎖っていうんですかね? ようわからんが。
とにかく重要なのは、自分がそういう対人関係・親子関係の築き方を親から受け継いじゃっている、ということを“自覚”し、改善に努めることだけではないだろうか。
親が離婚した子は自分も離婚しやすいってな話も同様で。
自分にそういう要素があると自覚し、自戒するだけで、問題を回避することは可能だと思うんですけどね。後天的な問題なんだし。


それに、親に限らず。
たぶん、夫や子以外の人にも同じような接し方しているのではと思った。
他人から受けた仕打ちを、その当人または別の人に対してやり返してしまうってのは、別に親子関係に限らずありそうな話では。
それが“鏡の法則”じゃないのだろうか。
父と娘の関係・その娘と夫との関係で特に起こりやすい現象ってわけでもないだろうな、と。


要するに、人の振り見て我が振りなおせ、てはなし。昔から言われていることだ。
それをなんだか妙な勿体つけて説明しているだけでは。


ついでに。
なんかやたらと父権・夫権にやたらと繋げたがってるっぽいあたりが細木数子さんみたい、とか。
もう一歩オカルトな世界に踏み込めば、先祖供養がどうのという話にもっていけそうな話だとも思った。
先祖への感謝の心がどうの、とか、親の因果が子に報い、みたいな。
同様の指摘をトラバ先のコメント欄に書いてる方がいらっしゃったが、私もそう感じました。


また、子供のいじめ問題が解決したことと、A子さんの心の葛藤の解決は、まるで因果関係がないと私には感じられたのですが。
B氏は

「心の世界はつながっていますからね。原因を解決すれば、結果は変わるしかないのです」


という台詞にあるように、因果関係があるかのように匂わせているかんじ。
なんかオカルトとかニューエイジっちいというか、新興宗教ですか?って印象を感じた。
さらに加えて、

「われわれは学校教育で、目に見えるものを対象にした物質科学ばかりを教えられて育ちましたからね」


とおっしゃってるし。なんか、もしかしてID論者?とか感じた。ほか、

「心の中で『ありがとうございます』という言葉を100回ずつ唱える時間を持って下さい」


『ありがとうございます』をお経のお題目とか祈りの言葉に変えたら、まさに宗教活動では、と。
それに「自分に解決できない問題は決して起こらない」て言葉、重度の障害者に対しても言えるのだろうかと思ったよ。そういうこと断言しちゃう人ってどうなんだろう。


まあ、そんなわけで。
根本は悪い話ではないと思うけどね。
ところどころ、さりげにちょっと変なものが混ぜられているというか、話の持っていき方がちょっと妙じゃない? てな印象を受けた次第。
それに、マルチとか悪徳業者とかが客を勧誘・説得(ていうか洗脳)するときの手口に通じる部分も散見されるという印象。
その手口はコンサルの人とかも使うかもしれないので、そういう手口を使っている=悪徳と、一概には言えないんだけどね。よく心得てる人だな>B氏、と思った。
あとは、ホット・リーディングかな、とも。



続いて、宗教的な見方をしてみると。
この話は要約すると、キリスト教の主の祈り「我らに罪を犯すものを我らが赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ」になるのでは、と思った。
そうそう、「許す」じゃなくて「赦す」じゃないかと。父を許可してどうするよ、と思った。


他人に厳しく赦しもせず、しかし自分は恩恵ちゃっかり受けて感謝もせずにふんぞり返ってますって人が、まともな人間関係を築けるわけないでしょうな、そりゃ。
父や夫に限らず&本人と相手の性別問わず、自分以外の人全員に対して、


自分が不完全な人間であるように、相手も不完全であることを理解すること/してもらっていることに感謝をすること/愛してもらうだけではなくて、自分から愛すること(性愛じゃなくて隣人愛ね)」


というスタンスで接するのは、人間関係の基本中の基本と思っていました。なかなかそうはできない場合もあるけどね。
なのに、なんで家族限定で語るんだろう?>B氏
ていうか、子供の問題は全て母親のせい、みたいなご意見とも思えて、ちょっと不快。いじめる側の問題は追求せず?
と、そこが甚だ疑問でございました。


といいつつ、私も心理学とかの専門家ではないし、キリスト教の知識も、日曜学校2年分というささやかなレベルのものなのでねー。
あくまでも、私はこう考えた、という素人話でした。
心理学とか精神医学とかを専門にする人のご意見が聞きたいところです。
その方面の専門家も、こういうやり方をなさるんだろうか。


なお、この『鏡の法則』話は既に書籍化されているもよう。


A子さんの後日談とか、載ってるのかな? 続編があったら見てみたいが。
いまんとこ、批判的なカスタマーレビューはついていない模様。


あと、『鏡の法則』の最後で(参考になる心理学の本として?)紹介されている本は、サンマーク出版の本。


ついでに、サンマーク出版つながりで、水系の本。こちらも最近、注目を浴びているようで。


ほかにもたくさん出ている模様。
そして水系の批判。


ダーヴィンの進化論を否定しているらしいインテリジェントデザイン論といい、水といい。なんか最近、愉快な見解をお示しになったり、それを教育現場に持ち込もうとなさったりしてる方が多いみたいですね。
1990年代のオカルトブームとか、ピラミッドパワーとか思い出しちゃいました。


最後に。
私は泣かなかった1割のほうです。って、いまさら言うまでもないか。
あと、保守的な宗教関係者対策のため、私はフェミでもサヨでもないですよ、と書いておこう一応。
それにしてもA子さんは、旦那のどこに惚れて結婚したんだろう。
何が何でも誰かと結婚しなくてはならない事情があって、好きでもないのに無理やり好きになって結婚するしかなかったとかですかね。


なんかまとまり悪くだらだら書いてしまいました。読みづらくてごめんなさいね。


って、ここまで書いて改めて米みたけど、mixi情報提供者の方ありがとう。宗教じゃなくてネズミなのかな? そのうち見にいってみよ。