神の国の福祉と少子化対策

柳沢厚労相続投で参院選苦しい=内閣改造「今は考える必要ない」−森元首相(2月9日/時事通信

 自民党森喜朗元首相は9日、TBSの番組収録で、柳沢伯夫厚生労働相の続投による夏の参院選への影響について「(政府には)少し時間がたてばとの思いがあるかもしれないが、野党やマスコミは承知しない。そういう意味から言うと非常に苦しい」と述べ、避けられないとの見方を明らかにした。
 その上で、森氏は「党のために、関係者がどうしたらいいのか考えるべきだ」と述べた。参院選までには厚労相の進退について改めて検討するよう安倍晋三首相らに求めた発言とみられる。党内の一部で取りざたされる2007年度予算案成立後の内閣改造については「今そのことは考える必要はない」と語った。

この記事を見て真っ先に思ったのは、

森喜朗元首相に柳沢厚生労働相の進退について意見する資格があるんだろうか

ということ。


森喜朗元首相は、2003年7月に「子どもをたくさんつくった女性に国がご苦労様でしたと言って面倒を見るのが本来の福祉です。ところが、子どもを一人もつくらない女性が、税金で面倒見なさいというのは、本当におかしいですよ」と発言して叩かれたそうで。
柳沢厚生労働相が女性を機械に例えたのは、「聞き手が理解しやすいように」という意図があってのことで、それに発言した後にすぐ、例えが悪かったと謝罪なさったとのことですが。
森元首相の場合は、「女は国のために子供を産め」と発言なさったも同然だよなあ。


ほかにも、軽くググってみたら色々と見つかった。

神の国発言Wikipedia

神の国発言(かみのくにはつげん)とは、2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会において森喜朗首相(当時)が行った挨拶の中に含まれていた、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく、そのために我々(=神政連関係議員)が頑張って来た」という発言。


「神道政治連盟国会議員懇談会結成30周年記念祝賀会における森首相挨拶全文


森氏の問題となった発言集Wikipedia


こういう考え方をする人が1年とはいえ首相をやってたとは。改めて驚いた。


ついでですが

福祉Wikipedia
福祉(ふくし)とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉で、広義で「公共の福祉」などと使われる。

  1. 狭義で生活保護などの社会保障を指す。
  2. 社会福祉は、未成年者、高齢者や障害者で生活上なんらかの支援や介助を必要とする人、経済的困窮者・ホームレスなどに対し、生活の質を維持・向上させるためのサービスを社会的に提供すること、あるいはそのための制度や設備を整備することを指す。
  3. 社会福祉制度とは、社会福祉に関する制度。
  4. 社会福祉政策とは、政府による、社会福祉サービスの運営や提供に関するプログラム。

福祉(goo辞書/三省堂提供「大辞林 第二版」)

〔「し」は「祉(ち)」の慣用音。「祉」は幸福の意〕幸福。特に、社会の構成員に等しくもたらされるべき幸福。
「公共の―」「社会―」「―事業」

「子どもをたくさんつくった女性に国がご苦労様でしたと言って面倒を見ること」という説明、国からの成果報酬だという説明はなかったですな。それどころか「社会の構成員に等しくもたらされるべき」と書かれてますな。


あと、森氏の「子ナシ女に年金やるな」発言をググってた時についでに見つけたことですが、同じく2003年に自民党の大田誠一氏が「集団レイプする人は、まだ元気があっていい」と発言してたそうで。


ほかにも、

石原慎太郎東京都知事「ババァ発言」事件Wikipedia

「これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典がいってるんだけど、“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です”って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む能力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって…。」
「2001年12月25日、日弁連は石原東京都知事に対して「警告書」を出した。石原発言が引用元の松井氏の見解とは全く異なるものであり、石原氏自身の見解に基いた発言であると評価するのが相当とし、女性に対する暴力であり、権利侵害であると評価」

※削除提案中だそうですので、全文を読みたい方はお早めにどうぞ。


石原都知事自民党だよな。


これらの発言に比べたら、柳沢厚労相の発言なんて愛らしいレベルに見えてくる。が、過去にこれだけの発言が自民党の人々から出ていて物議をかもしたというのにまたやらかしちゃったとは、自民党の方々には学習能力がないのだろうか、それとも改善する気がそもそもないのだろうか、と思ってしまうところ。後者かな。


こうやって各氏の発言を並べてみたら、改めて、おっかねえなあ自民党は、と思いました。
だがしかし、だからといってブーメラン野党を応援する気にもなれん。朝日は菅氏の発言も叩くべきだと思うがな。柳沢氏の時と同じ勢いで。


なんにせよ、出産可能な年齢の方々の一般的な価値観とは激しく乖離した価値観を持つ世代の人に少子化対策を考えさせるから、ジェンフリ批判?やら国粋な精神論?やらになっちゃうんじゃないのかねーと思った。以下の中間とりまとめを読んだら、特にそう感じられた。

「今後の少子化対策の方向について」(少子化問題調査会中間とりまとめ)
 平成16年5月20日 少子化問題調査会長 森  喜朗

(前略)
 出生率の低下は、経済成長優先、個人主義的豊かさの追求という戦後の社会風潮の進展と軌を一にしており、逆に出生率の低下は、経済活力の減退、社会保障制度などの破綻と言う観点から深刻に捕えられねばならぬ事実にこのことは端的に現れている。
 つまり、経済優先、個人優先の価値観に替わる新しい価値観の醸成に努め、経済成長(豊かさ)と少子化との相互矛盾をどのように調和させるべきかを国民的に議論しなければならぬ時が来ている。
(後略)

「経済優先、個人優先の価値観に替わる新しい価値観」=「愛国心」かな?
それとも宗教的な価値観かな?

ていうか。統●教会から送りこまれた秘書に作成させたんじゃないの?という思っちゃうような部分が多々ある取りまとめだなー。と感じた。
雇用形態と婚姻状況の相関関係に着目した柳沢厚生労働相のほうが、いいとこ突いていると思う。