政府税制調査会でのパラサイトワイフ発言


9/3付けの日記で、


>結婚したがっている若いお嬢さんのブログなども
>見て回ったことがあるのですが、
>そこに書かれているのは
>
>「自分は仕事に生きる気はない
>(生きられるだけの能力があるとは思えない)
> から結婚して主婦になる」
>
>みたいな理由でしてね。
>なんか、後ろ向きな動機だなーと
>感じられてしょうがなかったんですよ。


(中略)


>私には、最近の若い人の結婚および専業主婦願望は
>「良妻賢母思想への回帰」というより、
>「ニートの亜種」に見えますなぁ。


と書いたんですが、
そういえば似たようなことが話題になっていたかも、と
思い出したことがひとつ。
政府の税制調査会でのパラサイト・ワイフ発言です。
私はわりと最近まで知らなかったんですが、
ワイドショーネタにもなったらしいので、ご存知の方、多いかも。

税制調査会
第37回基礎問題小委員会 議事録 (平成17年5月27日開催)
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/gijiroku/b37kisoa.htm


所得税に関する話、配偶者の就労に対する中立性、
配偶者控除、児童手当の話から少子化対策に話がおよび、
ある委員が


「今の世の中、とにかく就業している女性がたくさん子供を
 産んでまっとうに育てられるような環境にないわけですから、
 やはりそういう家庭を大事にするような税制というのは、
 しばらく必要なのではないかと私は思いますね。」


と発言。
そうしたら、以降の展開が荒れ気味にw
以下、抜粋引用します。

○ちょっと先ほどの委員は誤解していると思うんです。今、専業主婦であれば子供を産むとは限らなくて、逆に専業主婦で何もしないのが多いんです。子供も産まないで。つまり、人生に前向きかどうかというと、働く女の人は前向きで、子供を産みたいわけ。働かないで家でごろごろしている主婦が、子供を今産まないんです。逆になっているので、先ほどの委員に時代とのずれを少しわかってもらったほうがいいので、つまり、パラサイト・シングルっているけれども、今、パラサイト・ワイフというのができてきた。つまり、変な生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしているんですよ。消費にはいいかもしれないけれども。
そういうところで、何か政策誘導的なものを作らないと、そういう人は淘汰してもらうなり何なりしてもらわないといけないような、そういう方向性を、あるいは前向きな人にはきちんとした支援をするということを考えないと、ちょっと困るのではないかなという方向に来ているんですよ。その思っている家族が。


○反論していいですか。私が言っているのはそうではなくて、家族というものを大事にして、その中で子供がたくさん生まれて、家族がいい教育をして、そして次代の日本を担うというようなことを考えてもいいではないかと、そういうことですよ。だから、時代が古いとかそういうのではなくて、産まない人の家庭はどうでもいいのですけれども、3人も5人も産んだ人を、どういうように家族として平和が保たれるような税制というのがあり得るのか、ということを考えてもいいではないか。前向きのことを言っているので、別にだめな家族を支援する必要はないと思いますね。


○でも、そうなると、だめな家族も恩恵を受けますよね。


○でも、子供に対する税の支援ということをいろいろ考えるのであれば、子供を産まないでのんべんだらりとしたところは、税の支援は受けられないわけですから。


○この議論で何かありますか。こういう時はあなたの出番だから、何かありますか。


○子供をつくる、つくらないというのは、手当とか金の多寡じゃないんですよね。昔言ったのは、男に魅力がないからだと、これ以外はないんですね。


○また、出てきた、その話が。


○それはいいんです。基本的に結婚しないのが多いからなんです。それはどうにもならないから諦めていますが。
先ほどの委員は意欲のある女性という言い方をしましたけど、働いている女性のほうがちゃんとご飯を作るというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきた発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多いんです。ただ、託児所をいっぱい作ったから子供を産むかというと、それもまた違うんですよ。駅に保育所があって……、子供は荷物じゃないんだから。


○あなたの議論だと、何をやっても、どいつもこいつも全部限界があって、ましていわんや、税制でちょびっと、言葉としてきれいなことを我々は書くけども……。


○1,000万ぐらいくれるといえば、産むかもしれないです。10万とか100万ぐらいじゃ全然だめです。


パラサイト・ワイフを「変な生命力のない人たち」とまで
言うか。なんだかなあ。
あと、
「子供をつくる、つくらないというのは、手当とか金の
 多寡じゃないんですよね。昔言ったのは、
 男に魅力がないからだと(略)」
って発言。
以前、男の魅力についても、この小委員会で議論してたのか?
政府の調査会なんだから、
もうちょっとマシな議論を…あ、いや。ノーコメントで。


で、この議事について、
「専業主婦への配慮が欠けている」ということで
ちょっと騒ぎになったらしい。

政府税調 配偶者控除議論 委員の発言波紋
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050721-00000009-san-pol

この記事によると、上述の議論をしていた基礎問題小委員会は
学識経験者やエコノミストら女性3人を含む計26人で
構成されているそうです。
この話題は、賢い方々が論じても、こういう結果になるんだーと
ちょっと、なんだかなあな気分。


ま、後ろ向きにだらだらと専業主婦やってる人が増加すると、
配偶者控除などなくしてしまえ、と言い出す人が現れかねず、
前向きに専業主婦して子育てしている人の迷惑になっちゃうかも、
と懸念されました、という話まで。


そして私見ですが、
家庭を大事にするような税制、育児を支援する制度は
もっと推し進めてほしいところですが、
高齢者の自宅介護に関する支援も
もっと推し進めてほしいですねー。


さらに。

ニート対策7億円 文科省概算要求…キャリア教育に重点
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/seiji/20050829/m20050829007.html

ニートな人生を選ぶのもその人の自由なんだけど、
その対策のために、こんなに金使われちゃうのか…。
ちょっと、なんだかなあな気分だ。
まあでも、キャリア教育はいままで充実してなかったほうが
おかしい、という気もするし。


現在の日本は、過剰に能力主義実力主義で、
ついでに省力化・海外生産に移行しすぎてしまった
ブルーカラーな就職口の減少)
とも思います。
男女とも、際立った才覚の持ち主でないと、
働きづらい社会になっちゃった、
そう感じてますな。
そんな状況では、
やる気をなくす人が増えて、当然だと感じています。


加えて、非婚女性の増加も、
女性の理想が高いということだけでなく、
男性の将来の安定感、安心感という面で、
不安要素が増えてきてしまったからではないか、
という印象もあります。
出世やリストラに対する不安ですね。
私の世代がお年頃だったとき(10年ちょい前)は、
まさに世の中、リストラブームで、
未成年の子供がいるおじさんでも、
容赦なくリストラされてましたでしょう。
そういう例を見聞きしちゃうと、
男性に対する見方が厳しくなって当然かもな、と
思ってました。


昔のように、終身雇用・年功序列な風土で、
一度就職しさえすれば、
将来に対する安心感がもてる時代だったなら
男女とも、安心して結婚できたでしょうが、
いまは違いますからねー。


というわけで、女性だけでなく男性についての、
安心して働ける雇用環境の整備も
少子化対策に盛り込まなきゃいかんのでは、と
思うとこだが、
日本は資本主義ですしねぇ。
いまさら終身雇用の年功序列復活なんて、
企業側がうんと言わない可能性大?
難しいですね。